無理ッ!!こんな城どうやって攻めるの?
美しくっても城は城!要塞としてもすごかった!敵から守るいくつもの仕掛け!

防衛の工夫を知ったら攻める気がなくなる。。。


姫路城は美しい建物ですが、もとは戦のための要塞です。
敵の侵入を食い止める仕掛けがいたるところに作られています。
そのなかの実際大天守まで攻め上がるつもりでいくつかを見てみましょう!

内堀なのにでかい!


容易に渡れそうもない幅の堀です。しかもこれ内堀です。(外堀はすでにほとんどが埋められてしまっています。)この幅の堀だと橋を壊されたらまず渡れそうにないです。 ただ、うわさでは堀のどこかに抜け道のための堤が隠されていて、30cmくらいの水深のところを歩いて堀を渡れるようになっている箇所があるとか。

大手門は3重構造




掘を正面から渡れたとしても、門がくぐりにくい!
現在の大手門は門が1つですが、かつては3重の門になっていたといわれ、進入するとしてもかなり困難だったと思われます。

大手門を突破しても屋敷だらけ。


屋敷がたくさんならび、攻め入る敵の進入を阻みます。


現在のように大手門をくぐると広場にはなっていませんでした。

どっちにいけばいい?三国濠の迂回


菱の門をくぐると天守閣が右に見えます。 まっすぐ大天守の方向へ進みたくなるのですが、大天守の方向には大きな三国濠という水溜りがあり、まっすぐ進めそうにありません。
三国濠は美しい景観のひとつに見えますが、敵の立場になったつもりで姫路城を見ると相当手ごわい水溜りです。
三国濠を回避して右周りに進むか左回りに進むかですが、右には次の門らしきものがありません。反対に左(菱の門をくぐって正面)には突破しやすそうな「い」の門があります。
さぁ、あなたが攻めるとしたらどっちに向かいますか?

どっちに行っても痛手は大きい?


「る」の門

もし、三国濠を右に迂回すると「る」の門が見えてきます。とても狭く石で囲まれた門で昔はここに木の門が取り付けられていたといわれています。
もし、三国濠を右に進んで敵が攻めてきたときはこの門ごと封鎖してしまい、この門の手前にある三国濠前で袋小路にして敵を攻撃するように設計されています。
実は、この門は菱の門をくぐったときには見えない角度にあります。


「い」の門

通常、菱の門を出てきた敵陣はまっすぐ「い」の門へ進むことが考えられるため、敵陣がまっすぐ「い」の門へ進んだ場合、菱の門をくぐった時には見えなかった「る」の門から兵が出てきて背後から攻撃する予定だったのではないかと考えられます。

壁の穴は模様じゃない!


多くの挟間(さま)

姫路城の壁には多くの穴があいてます。
丸や三角や正方形、長方形で、幾何学模様で美しくも見えますが、これも攻撃のための挟間(さま)と呼ばれるものです。
これらの穴から鉄砲や弓で敵を攻撃することができます。
相手側からすれば壁の小さな穴から弾丸や弓矢が飛んでくるのでたまったもんじゃないはずです。
壁の穴からこちらに鉄砲の弾や弓が飛んでくることを想像してみて登城してみてください。ありとあらゆる角度から討ち取られる可能性があることがわかるはずです。
(ちなみに、この写真の坂道(階段)はかつて某テレビ番組で使われたこともあって、「将軍坂」とも呼ばれているらしいです)

Uターンするだけなのに妙に怖い


はの門からにの門へと向かう坂。

コの字にUターンする通路は、遊園地などの乗り物待ちなどの通路で普段よく使う構造ですが、
実際攻める立場からすればこの狭い坂道でグルッと壁を回りこんだときに、弓や銃を構えた兵が向こうにズラッと待ち構えていると思うとちょっとこれだけでもゾッとする構造です。


コの字にUターンした先の通路はこんな感じです。ここの道にずらりと敵が待ち構えてそうです。

天井から槍が降ってくる!にの門!重厚な鉄の門です!


2階建ての門は、敵が下を通過するときに2階の床(1階の天井)をはずして上から総攻撃するらしい。。。


「に」の門をくぐる

実際に下を通る時にはニ階から槍がざくざく降ってきて攻撃されるかもしれないと思いながら通ってみてください。結構怖いですよ。

お一人ずつだと怖すぎる!「ほ」の門


「ほ」の門

一度にたくさんの人が通れないため、攻められたときの時間稼ぎになるように小さく作られた門です。
少ない人数ずつしか通れないので、門の内側から通ってきた敵を大勢で狙い撃ちできます。
また、門をくぐるとすぐに小さな上りの階段になるため、この門を階段ごと埋めてしまえば侵入を防ぐことができます。

え!?後ろにあったの?一瞬気がつかない!進行方向の後ろにある水一門!


水一門(左)と「ほ」の門(右)

ほの門(写真右)をくぐって階段を上ると油壁という壁の後ろに水一門という門があります。
この水一門へ向かうのが大天守への近道なのですが、壁の真後ろにあるため、階段を駆け上がった敵兵はそのまままっすぐ進みそうになるはずです。
ここも心理をよく考えて作られた構造です。

ほの門の先にある油壁がすごい!コンクリートに匹敵する強度を誇るらしい


油壁

この油壁すごい強度を持つ壁らしいです。土とねんどを交互に固めてつくる「版築」というとても根気のいる工法で作られいるらしいのですが、 コンクリートに匹敵する硬さになるとか。古いお寺の壁などにも使われており、通常の漆喰の壁よりも古い技法だということです。
でも、なぜすべての壁をこの技法でつくらないでココだけ?という疑問や油壁という名前の由来やいつ作られたかなどの詳細はあまりわかっていないそうです。
この場所にあることから天守への入り口として重要な水一門を徹底的に守るための策で作られたのではないかと考えられています。

あれ?道、間違ってない?下ってるよね?


水二門

死角になっていた水一門をくぐると水二門が見えますが、水一門から水二門、そして水三門までの道はゆるやかなくだり坂になってます。
おそらく敵兵なら、「あれ?今まで上って来たのに、下り坂になってしまった」と思うはずです。
大天守に登る近道なのに、下り坂なんです。「間違えた?」って思いません?これも心理的な作戦のようです。

ここも狭い!大人数じゃ通れない!水三門


水三門

ココも小さな埋門なので、人が一度に何人も通れません。時間稼ぎを考えて作られているようです。

もうすぐそこが大天守なのにまだ門が続く。


水四門

180度回転、右折、左折と敵兵の進路を変えて進入を防ぐ通路が続きますが、この門もくぐればすぐに左折です。

建物の近くまで来た敵には、上から石や熱湯が降りそそぐらしい。


石落とし

壁にいくつか下向きの出窓のようなものがあります。
これは、建物内から石垣の下にいる敵や石垣を登る敵にむけて、石を投げ落としたり、熱湯を掛けたりするための窓だといわれています。
容易に石垣も登らせません。

とどめの2重門 水五門と水六門


水五門


水六門

まだあるの?って感じで門が続きます。そのトドメ的な水五門と水六門。最後の砦的な2つの門です。水五門は頑丈な鉄製。

場内にも戦いの備えが!武具掛け!


壁一面に武器を掛ける武具掛けがあります。

急すぎる!上りにくい!


年配の人や足に自信がない人は登れないんじゃないかな?って思うような急な階段です。結構頻繁に途中で帰る人が出るみたいです。

そしてついに!


天守閣最上階からの眺め(南向き:姫路駅方向)

大天守頂上へ!
本来ならもっとたくさんの仕掛けがありますが、ご紹介したわかりやすい仕掛けだけだったとしても、自分が敵兵の1人だったとしたら、たぶんお堀か大手門でやられてしまう気がします。。。